
依頼主様が、どれほど取引先様を大切に考えておられるのかが、ひしひしと伝わる想いの深い言葉の数々──。
祝辞を始め、様々なご挨拶の原稿を作成させていただくに当たっては、どんな場合でも変わらないファースト・ステップがあります。
依頼者様のお話しを聴くこと。
当然のことといえば当然なのですが、しかしここが一番重要なポイントなのです。
文章を作成する人間がどれほど熟練したスキルを持っているとしても、好き勝手な言葉を散りばめたのでは、本当に想いのこもったご挨拶にはならない。
私たちが常に大切にし、絶対に忘れてはならないと肝に銘じているのが、この「想い」を汲み取り、掘り下げ、増幅して形にする、という点にあります。
だから全てのスタートは、インタビュアーと依頼者様の対話に耳を澄ませ、書き手がしっかりとその「想い」に同調してゆくことにあるのです。
その際にいつも心掛けているのが、敢えてサラッと聴く、ということです。
一見するといい加減な取り組み方と受け取られてしまいますが、もちろんそうではありません。書き手がガッツリと前のめりで聴き入ってしまうと、どうしても主観的な先入観や不必要な誇張が湧いてきてしまいがちです。
親しい友人の会話を何気なく耳にしているような感じで、まずはサラッと聴き流すことが大切なのです。
そうして気軽に接している中で必ず、キラッと光を放つ言葉に遭遇します。聴き手がリラックス状態の時に引っ掛かる話し手の言葉ほど、その想いは深く強いのです。
そんな風にして出遭った言葉なら、取り立てて飾りつけることをせずとも、ご挨拶を聞いておられる方たちの心に必ずや届きます。
今回の依頼者様のお言葉からも、想いの厚さ、そして熱さが、しっかりと伝わってきました。
大手飲食チェーンを運営する会社に食材や備品、納入している納入業者の集まりの総会、いわゆる協力会の会長が依頼者様であり、今回、定時総会でのご挨拶をする、とのお話をいただきました。
とつとつと穏やかに語られているにも関わらず、依頼者様が取引先様をどれほど大切に思い、尊敬と感謝の念をもって接しておられるのかが、ごく自然ににじみ出しているのです。
取引先様を盛り立てるために、自分たちが縁の下の力持ちとして惜しむことなく力を注ごうとされている、その「想い」が、発せられる言葉の端々からこぼれ落ちてくるのです。
その上で、自分たちは誇りを持ってより良い品を納入しているのだ、との深い自負も、しっかりと伝わってきました。
私たちはただただそれをすくい上げ、適切な文章として書き止め、整理してゆく。お手伝いしているのは、ほんの些細なことなのです。
誰の中にも必ずや宿っているそんな「想い」こそが、人から人への贈り物であるご挨拶というものの原点であり、最も大事なのだと実感しています。
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