アリュージョンとは、
広く知られている文学作品や神話、歴史上の出来事、あるいは文化的なイメージなどを、直接的には明言せずにほのめかす修辞技法のことを指します。
卒業式の祝辞で用いる場合、引用や紹介ほどはっきりとした説明をしなくても、聞き手が共有している知識や感情を呼び起こし、スピーチに奥行きと共感をもたらすことができます。
夜空を見上げると、星がレールのようにつながっているように見えた。
まるで、銀河のどこかへ向かう列車が走っているかのようだ。
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を暗示しています。タイトルや登場人物の名を出してはいませんが、「星がレール」「列車」というワードで想起させます。
このようなアリュージョンの活用には、いくつかのメリットがあります。
たとえば、歴史的事実や物語を巧みに織り込むことで、単なるお祝いの言葉に留まらず、人生の転機を迎える卒業生たちに深い示唆を与えられます。また聞き手がよく知る作品や人物を引き合いに出すことで、「自分たちの経験や思いと通じ合う」という実感をより強く抱かせる効果も生まれます。
さらに、比喩や象徴表現としての要素が強いアリュージョンは、伝えたいメッセージを平易かつ印象的に伝えるのに役立つでしょう。
スピーチの内容が平板になりがちな場面でも、ほんのひと工夫で説得力と情緒を高められる点も見逃せません。こうした要素が合わさることで、祝辞が記憶に残るものとなり、新たな一歩を踏み出す卒業生たちの心に長く響くスピーチをつくることができるのです。
ただし、多用は禁物です。なぜなら、祝辞は作品ではなく卒業生に向けたメッセージであるからです。
用いるとしても一か所、多くても二か所が限度でしょう。
PTA会長の祝辞 例文(高校 卒業式。無限の可能性)
https://www.documedia-p.com/oiwai-support/sam37.html
PTA会長が述べる高校の卒業式の祝辞(自由と責任の世界へ)
https://www.documedia-p.com/oiwai-support/sam43.html