以下の例文があります。
2017にアップしていますが、これはウェブサイトを更新した関係で、実際にはもう15年くらい前に世に出したものだと思います。
この例文の良さって、「人生は旅のようなもの」という一言を挟むことで、これから待ち受ける喜びも試練もすべて“旅程”の一部だと捉え直せる──そこが、この例文のいちばんの巧さだと思います。
なぜ“旅”のメタファーが効くのか
誰もが旅の経験やイメージを持っています。楽しみ(観光・ごちそう)もあれば、想定外のトラブル(乗り遅れ・道に迷う)もある、という共感しやすい構造がそのまま人生・夫婦生活に重なります。
「困難」を「坂道」や「荒波」と言うとネガティブ要素が前面に出ますが、「旅のハプニング」と言い換えると “想定外も含めて楽しめる” という前向きなトーンに変換されます。
旅=移動=門出という語感が、まさにふたりの新しいスタートを祝う場面にぴったり。社長というフォーマルな立場からでも、肩肘張らず温かみを添えられます。
この一節がもたらす効果としては、聴き手(列席者)に対して、難しすぎる人生論にならず、かといって浅い雑談にもならない。適度に深みを持たせつつ、祝宴らしい軽やかさを保てます。
新郎新婦に対しては、仕事でトラブルを乗り越えてきた新郎の姿と“旅のプランナー”としての職業イメージが重なり、ふたりの将来への信頼感を引き上げます。