資本関係は明確でも、会社のありようは様々です。
弔辞の代筆専門「弔辞の森」が、実際の作成の経験をもとにアドバイスをお送りするシリーズ。
今回は、
会社代表の弔辞 悲哀?それとも感謝?
です。
会社代表の弔辞といっても、今回のお話は、いわゆる社員代表ではなく、グループ会社を代表しての弔辞です。
会社組織の在り方で、いわゆる親会社・子会社という概念があります。
親会社は子会社の議決権のある株式の過半数を保有している場合など、親会社にとってその会社は子会社になります。
子会社のことをグループ会社と呼びますね。
私どもが作成したケースですと、親会社の(すでに代表権のない)会長の社葬式で、グループ会社5社を代表して、そのグループ会社5社のうちの1社の代表取締役社長が弔辞を述べるという内容でした。
一般的には、「子会社の社長が親会社の会長の社葬式で弔辞を述べる」ということではあったのですが、とても興味深いのが、親会社と子会社の関係性でした。
資本関係は明確ですので、「親」と「子」は明確なわけですが、もともと、故人である親会社の会長は、資本関係を武器にして子会社に指揮命令をするような経営は好まず、「みんなで手を取り合ってビジネスを進めていこう」という、ウェットに言えば懐が深い方であり、マネジメントとしてはそれこそが適切だという考えを持っていた方でした。
ですから、本件は子会社の社長としての弔辞という、部下が上司に向けて述べる弔辞ではなく、文字通り「グループの会社」(同じ方向を向いて一緒に仕事をやっているという意味でのグループ)の構成員の一人としての弔辞、という色合いが強かったのです。
で、内容はというと、当然素晴らしいものでした。
私どもが作ったから素晴らしいという意味ではなく(それもありますが)、発表者が故人に対し、あふれんばかりの感謝の思いを持っており、その意味で素晴らしかったのです。
社葬式でいかにそのお気持ちを適切に、もちろん優れた表現でお伝えするかは私どもの仕事ですが、いずれにしても、子会社の社長をこんな思いにさせるとは、会長はよほどの人徳をお持ちだったのだろうと、推察するのを容易に感じたものでした。
実際のところ、このような親子の関係というのは珍しいのだと思います。
親会社は子会社の実権を握っているわけですから、昨日まで白かったものが、今日、黒くなることがよくあります。
1日経てば白が黒になるのも、ビジネスの世界では当然と言えば当然です。
そんな世界にいらっしゃる依頼者様からご依頼をいただきましたら、そういった世界だからこそ感じ得る故人への思いを汲み取って、弔辞として表現するのが私どもの立場です。
お別れ会 弔辞 例文
社員代表の弔辞 例文(社長へ)