山川大学手品部一同を代表し、謹んで、鈴木三郎先輩の御霊にお別れの言葉を申し上げます。
鈴木先輩の悲報はあまりに突然で、ただぼう然とするのみです。今、こうして先輩のご霊前に立っておりましても、信じることができません。
先輩と私の最初の出会いは、私がまだ大学に入学して間もない頃でした。学生食堂で昼食をとっている私に、「手品を見てみない?」と屈託のない笑顔で声をかけて下さいました。私の返事もまたずに、おもむろにトランプを取り出すと、目の前で不思議な世界が繰り広げられ、私はすっかり手品のとりこになってしまいました。そうしていつの間にか、私は手品部に入部し、手品三昧の日々を送ることになりました。手品というものは、見るのはとても楽しいですが、その練習は、想像以上に厳しいものでした。
ともすれば、くじけそうになる私たちを、「人を楽しませるには、その陰で何倍もの努力が必要だ。でもその努力を決してお客さんに悟られてはいけない。楽しみが半減してしまうから。難しそうなことをいとも簡単そうにするから不思議なんだ。」と叱咤激励し、発表会のステージに立たせて下さいました。練習に明け暮れ、先輩と一緒に立ったステージ、その時浴びたスポットライトとお客さんの温かい拍手は今でも忘れることができません。学生時代のかけがえのない宝です。
手品ばかりではなく、学業もとても優秀な方で、卒業後は山川電気に入社されました。営業部で優秀な成績を上げているとうかがい、きっと、持ち前の明るさと、行き届いた気配り、そして時には手品を交えて、お客様の心をつかんで、がんばっていらっしゃるのだなと思ったものです。
鈴木先輩、私達は、先輩のご恩に感謝し、先輩のお言葉を胸に、これからは心新たにがんばってまいります。先輩のにこやかに笑う写真に最後のお別れを申し上げ、心からご冥福をお祈り申し上げます。