謹んで、友人ほのかさんのご逝去を悼み、ご霊前にお別れの言葉を申し上げます。
ほのかさん、本当にもう、会うことはできないのでしょうか。気がつけば、そればかりを考えてしまい、悲しくて心がつぶれてしまいそうです。
健康そのものだったほのかさんが入院されたのは、昨年の秋のことでした。あのほのかさんが、と慌てて病院に駆けつけた私に、「大丈夫に決まっているでしょ」なんて笑っていたのが昨日のことのように思い出されます。その言葉を信じて、また一緒に旅行ができるのを心待ちにしていましたのに、少しの覚悟もできぬまま、今日の日を迎えてしまいました。
思い起こせば、ほのかさんとは四十年近いお付き合い。ずいぶん長い間、一緒に時間を過ごしましたね。大学生の時に出会い、同好会で趣味に没頭し、社会人になってからも折を見て食事に行き、たわいもないこと、真剣なこと、本当にたくさんのことを話して、気持ちを共有しました。私の誰も知らない部分を、ほのかさんだけが知っている。誰も知らないほのかさんを、私だけに教えてくれる。まさに親友という間柄を、この歳になるまで続けることができたなんて、本当に嬉しいことです。
真っ直ぐなほのかさん。強い心でわが道を行き、まばゆい笑顔で前を向き、誰もが憧れる輝きを放つ人。けれど、決してそれを鼻にかけず、時にはそっけなく見えてしまうくらい、みんなに平等で、それを含めて私は、ほのかさんのことを太陽みたいな人だと思っていました。
あたたかくて、力強い、そんなほのかさんの手が、あんなに冷たく感じたのは、これが初めてです。冬にはカイロ代わりにしたこともあったあなたの手が、雪のように感じるなんて想像もしませんでした。
大丈夫だって言ったじゃないのと、強がりを言ったあなたを怒りたい。でも、それ以上に、あなたの言葉を鵜呑みにした、あのときの私を責めたい気持ちでいっぱいです。こんなにも早く、こんなにも急に旅立ってしまうなんて、悔しくて、寂しくて、たまりません。
けれど、こんな私を見ていたら、きっとほのかさんは心配してしまいますね。私もほのかさんのように強く前を向いて、また明日から、しっかりと前に進んでいこうと思います。
ほのかさんは、残された旦那様のことを心配しているかもしれませんが、立派に成長されたお子さん方がいらっしゃいますから、大丈夫です。今はまだ悲しい気持ちでいるかもしれませんが、ほのかさんとの思い出が心を癒してくれると思います。
どうぞ安心して、ご家族を、そして、ここにいる全員を見守っていてください。
ほのかさん、今まで本当にありがとうございました。どうか安らかにお眠りください。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
平成三十年六月二十日
牧野 静香