
いえいえ、私のことではありません。
彼女とは、かつていっしょに働いていたことがあって、
今は、ときどき会ってごはんを食べたり。
ゴールデンウィークのあとのこと、台湾料理の店で、
いっしょにごはんを食べていたときのことです。
「昆虫って食べてみたいんですよ。今年の課題はそれかな」
えええ! 昆虫ですか。
彼女はとても女性らしい人で、
今までも手作りのマドレーヌを貰ったり(おいしかった!)、
自分での虫除けスプレーを作ったり。
まあ、確かに食べ物に関しては、許容範囲が広いと思ってましたが。
以前、
『ドングリと文明』という本を読んだ私が、
「どんぐり食べたい!」とくり返していたときには、
韓国料理のお店につきあってくれました。
「虫を食べるという本を読んだんですよ」といいながら、
何々は甘くておいしいらしいとか、話してました。
私も、
「じゃあ、長野県ですよね、やっぱり本場は」
なんていってたんですが、
そういいながらも、何か引っかかるものがある。
最近見た何か。
帰りの電車のなかで思い出しました。
本屋さんで新刊チェックしていたときに、『昆虫食入門』という本を見たんだ。
それは買わなかったけれど、作者のチェックをしたら、
やはり、その方は長野県出身と書いてあった。
彼女にメールしました。
「読んだのは『昆虫食入門』という本ですか」
「私が読んだのは、『悪食コレクション』という本です。
『昆虫食入門』も読んでみますね」
という返信。
そのあとに、
「今日◯◯公園に行って、ここはまさに食材の宝庫だなと思いました」
とありました。
その公園は私も知っています。
広い自然公園で、遊歩道もあるところです。
ちょっと、目からうろこが落ちたような感じでした。
彼女がどの程度本気だったのか、
メールなので、わからないのですが、
現代人と違って、狩猟採集民ってたぶん、
風景を見て、きれいとかではなく、
食材の宝庫だ!とかと思うんだろうなあと。
何だか妙な実感でした。
さて、
彼女はその後も順調に進化しています。
先日、
「『昆虫食入門』の作者のトークと、昆虫を食べる」
というイベントがあったそうで、
その報告をメールでもらいました(写真付き)。
「下処理の仕方とかも出てきて、必死でメモを取りましたよ」
とのことです。
※『ドングリと文明 偉大な木が創った1万5000年の人類史』
ウィリアム・ブライアント・ローガン 日経BP社
※『昆虫食入門』内山昭一 平凡社新書
※『悪食コレクション―あるいは“食”としての文化人類学』村上紀史郎編 芳賀書店