高校 卒業式での後援会会長 祝辞（例文 社会という場所は）

　卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
　三年前の春、コロナ禍と共に始まった皆さんの高校生活は、入学式の中止、休校、部活動や課外活動も制限されるなど、思いもよらないことの連続でした。せっかくの学校生活を楽しめていないのではないか、やりたいことができていないのではないかと、私は皆さんのことを心配していました。しかし、それが杞憂であったことが、皆さんが入学してそう長く時間が経たないうちに分かりました。悩みながらも仲間たちと励まし合い、工夫を凝らし、笑顔で日々を送る皆さんを見ることができたからです。その姿に、私のほうが元気と勇気をもらいました。

　さて、新たな世界に踏み出していく皆さんに、一つ、言葉を贈ります。
　「臥薪嘗胆」、成功するために苦労に耐えるという意味の中国の故事成語です。
　コロナウィルスはたしかに皆さんの前に立ちはだかりました。その大きな壁を破るために、皆さんは大変な思いをしました。同時に、皆さんは得難いものを得ました。困難な状況で頑張ったという経験と実績です。それらはコロナ禍がなければ得られなかった、掛け替えのない財産です。

　四月から皆さんが身を置く社会という場所は、思いのほか自由であり、そして、思いのほか自分勝手に皆さんを翻弄するでしょう。しかし、恐れる必要はありません。なぜなら皆さんは、本校で過ごした三年間で、どのような状況下でもしっかりと地に足を付け、前進していくための力と精神を身に付けてきたからです。
　何より、社会という場所は、この上ない幸せを感じたり、仲間たちとの絆をより深めたりできる場所でもあります。たくさんの喜怒哀楽を感じながら、人生を謳歌していってください。
　皆さん、いよいよ旅立ちの時です。本校の卒業生としての誇りを胸に抱いて、新天地に羽ばたいていってください。私たち後援会は、ずっと皆さんのことを応援し、見守っています。