祝辞や挨拶の作成専門 : ニーバーオフィスのブログ

言葉の職人たち:スピーチライターと通訳者って、何が違うんだろう?

time 2025/09/18

最近、友人とこんな話をした。「スピーチライターと通訳者って、どちらも言葉のプロだよね。でも何が違うんだろう?」

言われてみれば確かに、どちらも「言葉を扱う専門職」という点では同じだ。でも実際に両方の仕事を見てみると、似ているようで全然違う。今日はそんな疑問を、ちょっと掘り下げて考えてみたい。

まずは共通点から

この二つの職業、実は根っこの部分では同じことをやっている。それは「橋渡し」だ。

スピーチライターは、話し手の頭の中にあるモヤモヤした思いを、聞き手の心に届く言葉に変える。通訳者は、ある言語で話された内容を、別の言語を話す人に理解してもらえる形に変える。どちらも「Aさんの何かを、Bさんに伝わる形にする」という、いわば翻訳家なのだ。

そしてもう一つ。どちらも「ただ言葉を置き換えるだけ」では仕事にならない。

スピーチライターが「社長は『売上を上げたい』と言っています」なんて書いたら、聞き手は「で?」と思うだろう。その背後にある「なぜ売上を上げたいのか」「それが社会にどんな意味を持つのか」まで汲み取って、人の心を動かす言葉にしなければならない。

通訳者だって、単語をそのまま置き換えるだけじゃダメ。文化の違いやニュアンスを考えて、「この人が本当に言いたいことは何か」を理解した上で訳す必要がある。

でも、やっぱり全然違う

創るか、変えるか

一番の違いは、ここだと思う。

スピーチライターは「創る人」だ。話し手と何時間も話し込んで、その人の価値観や体験を掘り起こし、時にはその人自身も気づいていなかった本音を言葉にしていく。まっさらな紙に、ゼロから文章を書いていく感じ。

通訳者は「変える人」だ。もう存在している言葉を、別の言語に変換する。もちろん単純な作業じゃないし、高度な技術が必要だけれど、基本的には「すでにあるもの」を扱っている。

例えて言うなら、スピーチライターは作曲家で、通訳者は演奏家、みたいな感じかもしれない。

距離感の違い

スピーチライターは、話し手とめちゃくちゃ近い関係になる。その人の癖や価値観、話し方の特徴まで知り尽くさないと、「その人らしい」スピーチは書けない。時には家族よりも、その人のことを理解している場合もある。ちょっと言い過ぎかもしれないが。

通訳者は違う。もちろん発話者のことを理解する必要はあるけれど、あくまで「プロとしての距離感」を保つ。むしろ、誰が相手でも同じクオリティで仕事ができることが大切だ。

昔、通訳者の友人がこう言っていた。「私はメッセンジャーなの。手紙の内容に個人的な感情を挟んじゃダメでしょ?」なるほど、と思った。

責任の重さが違う方向

スピーチライターが書いたスピーチがスベったら、話し手の評価も下がる。つまり、「この人をよく見せる責任」を少なからず背負っている。成功したときの達成感も大きいけれど、プレッシャーもあるだろう。

通訳者の責任は「正確に伝える」こと。個人的な解釈や装飾を加えるのではなく、発話者の意図を忠実に再現することが使命。ある意味、自分の個性を消すことが求められる仕事とも言える。

結局のところ

この二つの職業を見ていると、どちらも「言葉の力」を信じている人たちなんだなあ、と思う。

今度スピーチを聞いたり、通訳を見たりする機会があったら、ちょっとこのことを思い出してみてほしい。きっと、いままでとは違う見方ができるはずだ。

そういえば、友人との会話の最後にこんなことを言われた。「そう言えば、君の会社はどちらにも対応しているよね。楽しそうだね」。

私は微笑みながら心の中で思った。うん、楽しいよ。

 

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この記事を書いた人

西山

ニーバーオフィス 代表/技術責任者 西山

2006年より、祝辞・挨拶文の作成を専門に行っています。結婚式の主賓の祝辞や父親の謝辞、PTA会長の挨拶、協力会会長の挨拶、各種式典での祝辞・謝辞など。原稿は一件ずつ、お電話で伺ったお話をもとに作成しています。

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