|
山田太郎さん、花子さん、ご結婚おめでとうございます。ご両家の皆様にも、心よりお慶び申し上げます。
ご来賓の諸先輩が多数いらっしゃるところ、誠に僭越ではございますが、皆様に先立ち、ひとことお祝いのご挨拶をさせていただきます。
どうぞ、皆様お座りください。
私は、ただいまご指名にあずかりました上下大学の田中でございます。
花子さん、ご結婚おめでとう。私は、上下大学工学部建築学科での2年間と、大学院に進学されてからの2年間、あわせて4年間、花子さんを指導させていただきました。
現在、建築家ブームとでも申しましょうか、テレビや雑誌などで建築家が取り上げられるケースが増えてまいりまして、建築学科を志望する学生が女性を含めて、急激に増えているのですが、花子さんが入学した当時は、まだ女性が非常に少ない時期でして、学科全体でも、10名たらずでございました。ですから、女性というだけで非常に目立つ存在でした。しかも、花子さんは、成績が優秀な上に、このお美しい容姿でございますので、みんなから、いっそう注目を浴びておりました。
その花子さんが、住宅設計をもっと深く学びたいということで、私の研究室に入ってきたわけです。研究室ではもちろん紅一点で、研究室の男性諸君の間ではあこがれの人だったようです。しかし、周囲からちやほやされても、花子さんに、うわついたところは全くなく、まじめで、勉強熱心で、いつも素直で、周囲を明るくする笑顔の素敵な女性であることは、みなさんもよくご存知のとおりだと思います。
花子さんは、いつも朝一番に研究室にきては、観葉植物に水をやり、私に、温かいコーヒーを入れてくれておりました。研究室では、男子生徒相手に、喧々諤々の議論をすることもありましたが、一方では、女性らしい優しい気遣いのできる人でした。それは、花子さんが設計する家にもあらわれています。彼女の設計する家は、子供や母親、老夫婦などへのいろいろな配慮が感じられる、まさに人に優しい家です。
花子さんは、研究室では、私の優秀なスタッフとして、個人住宅をはじめ複合ビルや映画館などさまざまな設計に携わっておりました。結局、「住む人の顔がみえる、人の温かさが伝わる家の設計がしたい」と言いまして、大学院修了後は、住宅設計の会社に就職されました。そこで、営業をなさっていた新郎の太郎君と知り合われたとうかがっております。
このように設計士としても優秀な花子さんですから、結婚後も引き続き、設計の仕事を続けられると聞いて、ほっとしている次第でございます。
しかし、仕事と家庭の両立というのは、「言うは易し、行うは難し」です。われわれ、男性が思うよりずっと大変なようです。でも、結婚されたことが、今後、花子さんの設計士としての仕事にも、きっとプラスとなってあらわれるはずです。
どうぞ、太郎君、花子さんが大変な時は、助けてあげてください。営業をなさっているという太郎君なら、きっと花子さんの仕事とその能力を誰よりもわかっていると信じております。花子さんの強い支えとなってくださるよう私からもお願いします。
花子さん、これからは、太郎君と二人、手を取り合い励まし合って、あなたが目指していた、温かく、優しい家を築き上げていってください。
お二人とも末永く、喜びも悲しみもともにして、幸せな結婚生活をお送りされますよう、心から希望いたしまして、私のご挨拶とさせていただきます。
|