以下、PTA会長向けの記事をアップしました。
ここでは別の角度からお伝えします。
語り手の聞き手との関係性
届かない理由は、語り手の聞き手との関係性もあると思う。
たとえば卒業式なら、PTA会長と卒業生の関係性になるが、しかし、多くの場合、卒業生はPTA会長のことを知らない。名前も顔も一致しないし、話すのはこの卒業式が最初で最後かもしれない。
そんな、いわば「ほぼ他人」に近い人から贈られる言葉が、果たして心に届くだろうか。
もちろん、会長の話には思いが込められている。子どもたちの成長を祝う気持ちや、これからの人生へのエール。内容としては「いい話」であることが多いし、言っていることが間違っているわけでもない。
ただ、「いい話」だからと言って、それがそのまま聞き手の胸に響くかというと、そうはならないこともある。
誰が言っているか
なぜなら、言葉が届くかどうかには、「誰が言っているか」という要素が大きく関わってくるからだ。
関係性が浅い、あるいはまったくない人の言葉は、どうしても受け取る側の心にブレーキがかかりやすい。「この人は自分のことを知らない」「この人は何を分かっているんだろう」と、無意識に距離を取ってしまう。だから、どれだけ正論を言っても、聞き手にとっては「自分に向けられた言葉」として入ってこない。
だからこそ、内容の良さ以上に、語り方や話の構成が重要になる。相手の立場や気持ちを想像し、その人たちがどんな場面にいて、どんな感情でその瞬間を迎えているのかを考えたうえで言葉を選ぶ必要がある。
ただ正しさを語るのではなく、共感から入り、問いを投げかけ、選択肢や気づきを手渡すような話し方をすれば、「聞いてもいいかな」という気持ちを引き出すことができるかもしれない。
スピーチは、ただ話すだけでは届かない。特に、関係性が希薄な場面ではなおさらだ。
だからこそ、語り手は「話の内容」だけでなく、「誰として、誰に向かって語るのか」という視点を持つことが大切だと思う。






