年頭挨拶の前半は、去年を振り返る話です。難しいのは後半、今年をどう語るかのほうです。
今年の方針も、社員への期待も、社長の中で決まっていることが言葉になります。決まっていないものは、どんな表現を使ってもぼやけます。
2006年から社長の年頭挨拶を作ってきて、後半で詰まる原因はだいたい決まっています。
施策を細かく語る必要はない
年頭挨拶で今年の施策を詳しく説明する必要はありません。それは経営方針の発表など、別の場でやることです。
必要なのは、社長ご自身の中で「今年はここ」がはっきりしていることだけです。それさえあれば、挨拶で語るのは方向だけで足ります。
決まっているのに、言葉にならないこともある
ヒアリングをしていると、こういうことがよくあります。
「今年はAIも活用しながら、業務の省力化を進めていきたい」。ここまでははっきりしている。では、どの業務から、何を変えていくのかと伺うと、そこから先はまだ整理されていない。
まだ決めていない場合もありますが、決めてはいるのに説明しづらい、という場合も同じくらいあります。頭の中では整理されているのに、人に話す形になっていない。人に説明しようとして初めて、自分の中で曖昧だった部分が見えてくる。これはよくあることです。
社員への期待だけを語っても、伝わりにくい
「頑張ってほしい」だけを言われても、社員には響きません。
実際の年頭挨拶を見ていると、社長は期待を単独では語っていません。給与や働く環境をこうしていく、健康経営に取り組む、やりがいのある職場にする。そういう話を先にして、だから頑張ってほしい、結果を出してほしい、と続けています。
会社が何をするかを先に示してから求める。この順序だけで、同じ言葉でも届き方が変わります。
「社業の発展のために」か、「仕事の面白さ」か
期待の伝え方を大きく分けると、二つの方向があります。
「社業が発展するために」「創業50周年を見据えて」、だから頑張ってほしい。会社の目標を軸にした、端的な語り方です。
もう一方は、社員一人ひとりの成長や、仕事の面白さ、働くことが人生にもたらすものと結びつけて語る方法です。
どちらが正しいということはありません。ただ、普段の語り口に合っていないほうを選ぶと、社員はすぐに気づきます。普段、端的に話される社長が急に人生観を語り始めれば違和感がありますし、逆もそうです。
まとめ
今年の方針が固まっていれば、挨拶で語るのは方向だけで足ります。社員への期待も、会社がこうしていくという話とセットにすれば、凝った言い回しは要りません。
当社では、社長の年頭挨拶の原稿を一件ずつお作りしています。今年の方針がまだ整理しきれていない段階でも構いません。お電話で伺いながら形にしていくのが、私たちの仕事です。




