年頭の挨拶を控えて、「何を話すか」よりも「どういう順番で話すか」で悩んでいる社長が多い、という印象があります。
先に結論を申し上げると、年頭挨拶に決まった構成の型はありません。話す中身が決まれば、順番はあとからついてきます。
2006年からこの仕事をしていますが、年頭挨拶の構成がご依頼どうしで同じだったことは、一度もありません。毎回違います。この記事では、年頭挨拶にたいてい含まれる要素と、その並べ方がどう決まるのかを書きます。
年頭挨拶にたいてい含まれるもの
去年一年の振り返り、今年の方針、経済や社会の情勢。この三つは、たいていの年頭挨拶に出てきます。
ただし、この三つは独立した「段落」として並ぶわけではありません。
去年が厳しかったとして、その理由が外部環境にあるなら、振り返りと情勢の話は分けようがありません。振り返りの中に情勢が入ることもあれば、情勢の話から始めて自社の一年につなげることもあります。
今年の方針と社員への期待も似ています。「今年はここに注力する」と言えば、それ自体が「皆さんにこうしてほしい」という話を含んでいます。無理に分けると、同じことを二度言うことになります。
順番は、何を厚く語るかで決まる
何を話すか。そして、どこに厚みを持たせるか。順番はこの二つで決まります。
去年がいい年だった。その手ごたえが社員の働きによるものだと思っている。そういう場合は、振り返りに時間を使いたくなります。情勢の話は前置き程度で済みます。
去年が厳しくて、原因の多くが外部にある。この場合は、先に情勢の話を置いて「こういう環境だった」という共通認識を作ったうえで、自社の話に入ったほうが伝わります。
今年、大きく舵を切る。そういうときは、去年の話は手短にして、今年の方針を厚く語ることになります。
構成だけ先に決めようとすると行き詰まるのは、話す中身が決まっていないからです。
最初に決めるのは「なぜ」
では、何から手をつけるか。
去年が、なぜああいう一年だったのか。これを言葉にするところからです。
なぜ売上が伸びたのか。なぜ苦しかったのか。ここがはっきりすると、去年の振り返りがそのまま今年やることの説明になります。
去年の数字を細かく出す社長は、あまりいません。大まかに触れて、細かい話は別の場でやる。それでいいと思います。社員が聞きたいのは数字そのものより、社長がその数字をどう見ているかです。
この「なぜ」が固まると、他の話の置き場所が見えてきます。原因が外部にあれば情勢の話が前に来るし、社内の取り組みにあれば方針の話に直結する。構成は、こうやって決まっていきます。
動かせないもの
順番が自由とはいえ、動かせないものはあります。冒頭の挨拶と締めの言葉です。
それと、経済や社会情勢の話を締めの直前に置くことは、まずありません。情勢の話は自社の話に入るための前振りであって、社員を送り出す言葉にはならないからです。
ただ、それ以外の順番は、話したいことに応じて自由に動かせます。
持ち時間を先に確認する
もうひとつ。話す時間を先に確認しておくと、楽になります。
時間が短ければ、あれもこれもとは言えません。どこに絞るかを決めることになります。長めに取れるなら、振り返りから方針まで、それなりの厚みで語れます。
会場の進行でおおよその持ち時間は決まっているはずですので、先に聞いておくと、内容の取捨選択が早くなります。
まとめ
年頭挨拶に、決まった構成の型はありません。
含まれる要素はだいたい同じでも、並べ方は毎回変わります。そしてその並べ方は、去年の「なぜ」を言葉にするところから決まっていきます。
型から入るのではなく、話したいことから入る。これが、年頭挨拶を組み立てるときの手順です。
当社では、社長の年頭挨拶の原稿を一件ずつお作りしています。お電話で去年のことと今年のお考えを伺い、構成と表現はこちらで組み立てます。「なんとなく、こんな感じ」という輪郭をお聞かせいただければ結構です。




