解説
この例文は、コロナ禍で学んだ看護学生たちを想定した式辞です。
マスク越しの学びや制限された実習といった、この世代特有の体験を「困難」ではなく「看護師としての強さを培った貴重な経験」として再定義しています。
「答えのない問い」「苦しい判断」といった現場の厳しさに言及し、同時に技術だけでなく「心」「まなざし」「気遣い」という人間的要素の重要性を強調しています。
例文
振り返れば、皆さんが学んだ時期は、まさに新型コロナウイルスの流行と重なりました。実習は制限され、思うように患者さんと触れ合えない中での学び。仲間の表情もマスクに隠れ、時には画面越しにしか語り合えない状況もありました。
看護の本質は、人の命と生活を支えることにあります。その実践は、知識や技術だけでなく、患者さんに向けられるまなざしや関係性に支えられています。それを行うことが難しい環境は、皆さんにとって大きな試練であったはずです。
それでも皆さんは歩みを止めることなく、互いに支え合い、時に笑顔を交わしながら困難を乗り越えてきました。その笑顔は、皆さんの内にある強さの証でした。そして、その強さを持つ皆さんならば、これから出会う患者さんの心に安らぎを与え、回復へ向かう歩みを支えることができると確信しています。
看護師の仕事は、命に寄り添い、その命を支えることです。医学的な処置やケアには正確さと根拠が求められますが、それを生かすのは常に皆さん自身の心です。患者さんは皆、苦痛や不安を抱えています。だからこそ、皆さんの声や表情、ふとした気遣いが、治療と同じほどの力を持つのです。
これから医療の現場に立てば、答えのない問いや、時に苦しい判断を迫られる場面が数多く訪れることでしょう。しかし、仲間と共に試練を乗り越えてきた経験は、必ずや皆さんを支え続けます。どうか臆することなく、一歩を踏み出してください。
そして忘れないでください。自らを守ることもまた、専門職としての責任です。自分を大切にしながら、学びを重ね、人に寄り添う姿勢を持ち続けること——それこそが、看護師として、そして一人の人間として歩み続ける力の源になります。
どうか、本校での三年間の経験を胸に、未来へと大きく羽ばたいていってください。
【先生方への言葉など】
【締めの言葉】
令和6年3月15日
○○県立○○看護専門学校
校長 ○○ ○○
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