山内です。ご指名をいただきましたので、ご挨拶を申し述べさせていただきます。
細田さん、改めまして、インドネシア工場長へのご就任、誠におめでとうございます。
二〇〇八年、私が東京に転勤してきたとき、上司として迎えてくださったのが、細田さんでした。なかなかに寡黙な方ですから、実は当初、どのように接すればいいのだろうと戸惑ってしまったことを、ここに正直に告白いたします。しかし、今思えば、細田さんは私の思いを汲み取り、動きやすい環境を整えてくださいました。
振り返りますと、所属していた部の解体という困難を経て、我々が立ち上げたプロジェクトが会社全体を巻き込むほどに大きく成長したこと、これは細田さんが与えてくださった自由な環境がなければ不可能なことでした。
細田さんを通じて教わったのは、会社が目指している方向であり、それまで自分が携わっていた仕事を、大局的な視野に立って俯瞰することの重要性でした。なるほど、人間誰しも忙しさも極みに達すると近視眼的になりがちですので、おかげさまで、最近、仕事の幅が広がってきたなと実感することが増えました。この気づきは我々にとって非常に貴重なものになっていくと思います。
一方、慰安旅行で細田さんが隠し芸として披露してくださったダンス。普段からは想像もつかない破天荒で陽気なその姿に、一同大いに盛り上がりました。と同時に、人間をさらけ出すとはこういうことかと、驚きと恥じらいと爽快さがいっぺんにやってきて、目から鱗が落ちる衝撃を受けたのを今でも思い出します。
さて、そんな細田さんがこのたび栄転されることになり、いくつかのプロジェクトの最中でもありましたから、いささか戸惑いました。しかも、赴任先では新しい工場、新しい組織を一から立ち上げる重責を担われるということで、そのプレッシャーはいかばかりかと察して余りあります。
しかし、細田さんであれば、開発も現場も熟知するオールドラウンドプレーヤーになられて、立ち上げを成功させると信じてやみません。開発センターでのプロジェクトはどうぞ我々にお任せいただき、安心してインドネシアでの仕事に打ち込んでください。
そして、いずれはインドネシア工場が、当社が誇る工場の一つになることを、楽しみにしています。
細田さん、短い期間ではありましたが、二年間苦楽をともにし、今、あなたを戦友のように感じていると言ってしまうのは僭越でしょうか。このたびの異動は名残惜しいですが、これからの細田さんの活躍を信じて、応援したいと思います。
遠い異国での単身赴任は、慣れるまでは何かと大変かと存じますが、どうか健康に留意され、お元気でお過ごしください。
細田さんのこれまでの様々なご功労に敬意を表し、感謝を申し上げますとともに、今後のご活躍をお祈りして、私の挨拶とさせていただきます。
二年間、本当にありがとうございました。
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